表紙密着ご奉仕させてください 未亡人母娘の淫らな腰つき
青橋由高(著)
フランス書院文庫

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版元ドットコム(作品詳細)
「もっと、もっとあなたとつながりたいの」
胸板に押しつけられる柔乳、耳に注がれる甘い囁き。
未亡人の濃厚フェロモンに、賢吾の勃起は爆発寸前。
内気で清楚、でもベリーダンスをたしなむ綾子が、大胆な騎乗位でくゆらせる腰つきがいやらしすぎて……
姦係に気づいた娘を巻きこんで、最高のハーレムが!

プロローグ
第一章 初体験 熟未亡人の甘い騎乗位
第二章 乙女の純潔 巫女装束のまま穢して
第三章 競演 ベリーダンス衣装とセクシーランジェリー
第四章 夜の舞踏会 淫らに揺れるふたつの美尻
エピローグ

その2から続く)

 毎度のごとく、今作もページ数足りなくなりました。残す部分・削る部分・逆に加える部分、そこを見極めるのが大事です。そして、難しいのです。
 作者的には残したかったけれど、最後にカットしたのが、最終章の冒頭パート、つまり綾子と美緒が発表会でそれぞれ賢吾への想いを込めて踊るシーンでした。10ページくらいねちねちと書いたものの、その後もまた母娘が踊るわけなんで、ちょいとしつこいかもと判断、ばっさりカットしました。

 ある意味では一番書かなきゃいけないシーンなんですよね。私も、他をカットしても、ここはさすがに残すと思ってました。そんな事態になった原因は、同じく最終章のエロシーンです。
 複数ヒロインのハーレムものなので、それまでのシーンよりずっとエロくて、ボリュームもたっぷりにしたい……ってのが、最終章です。ここがあっさりしすぎるのは、個人的はよくないと考えてますから。

 でもね……それにしたってね、最終章、エロシーン頑張りすぎました。いや、初稿の時点から「ここまでやる必要なくね?」って疑問はありました。悩みました。考えました。その結果、「エロい分にはいいんじゃね?」と開き直ってああなりました。
 読んだ方が楽しんでもらえたならいいのですが。

 一方で、プロローグとエピローグはややあっさりめです。私にしては。
 実は、プロローグもエピローグも、プロットにはそもそもなかったんです。なくてもいいんじゃないかな、あるいはエピローグだけでも、なんて案も持ってました。
 最終的には、本編で描けなかった出会いのシーンをプロローグに、そしてそこに絡めたエピローグを書きましたけども。

 エピローグは大変でした。ネタが浮かばなかったのもありますし(3回、それぞれ別の案で書き直してます)、なにより、ページ数がぎりっぎりで。せめてあと1行あればな、と何度も思ったことをよく覚えてます。

 エピローグでベッドを買うってネタは、1ヶ月前に出た美少女文庫の「嫁入りメイド・栗栖川くるみは娶られたい」と同じじゃん、手抜きじゃん、と言われるんじゃないかと、びくびくしながら書いたこともよく覚えてます……。
 別のネタでも一度書いたんですが、そっちだと枚数足りなかったんですよお(言い訳)。

 余談になりますが、今、この作品のスピンオフ的な短編を書いてます。近日発売となる特選小説誌に掲載予定。ヒロインはベリーダンス教室の講師です。作中ではセリフだけ登場してますね。
 こちらもよろしくです。

 最後に、カットした最終章の冒頭シーンを公開しておきます。ネタバレが気になる方は注意。
 校正してないから、誤字脱字とかあるでしょうが、広い心でスルーしてやってくださいませ。

(以下、カットシーン)
 年が明け、正月気分もすっかり薄れた一月の最終日曜日、賢吾はダンス教室主宰の発表会場で、まだ真新しいビデオカメラを構えていた。
(えーと、今ので生徒さんたちの発表はおしまいか。あとはエキシビションをいくつか挟んで、ラストに全員でのダンス、と)
 今日のプログラムを確認した賢吾は、念のためにとメモリーの残量を確認しておく。これから始まるエキシビションに出る綾子と美緒の舞いを、絶対に撮り逃さないためだ。
 観客はみな生徒の身内や友人知人で、賢吾と同じくカメラを持ち込んでる者もいる。だが、撮影にかける意気込み(と投じた資金)は間違いなく、賢吾が抜きん出ていた。
(お、先生の出番か)
 顔見知りの講師が披露するベリーダンスは、素人目にもレベルが違っていた。ダンスはもちろん、衣装や鍛え上げた肉体の見せ方、音楽や照明まで計算した完成度の高い踊りに、観客たちが引き込まれていく。
(うおお、さすがプロ! レベルが違う!)
 講師に続いて登場したのは、今年から特別にプログラムに加わったゲストだ。ダンス教室の所属ではないが、関係者の身内でもある地元神社の巫女、つまりは美緒による奉納の舞だった。
(あんな凄い踊りの直後で大丈夫かな、美緒)
 巫女として初めて人前で舞ったとき、直前までがたがたと震え、賢吾の側から離れなかった姿が脳裏に甦り、こちらまで緊張してくる。けれど、心配は無用だった。
「おお……!」
 思わずそんなつぶやきが出てしまうくらいに、美緒の舞いは美しかった。講師のパワフルかつセクシーな本場仕込みのベリーダンスとはまるで異なる、厳かさを感じさせる巫女舞に、観客も引き込まれてるのがわかる。無論、この場で最も美緒に夢中なのは、間違いなく賢吾だった。
(いい、いい、俺が見てきた中でも、間違いなく最高の舞いだよ、美緒っ)
 興奮と感動に包まれる賢吾とは対照的に、美緒の表情は穏やかだった。少なくとも、この場にいる人間の大半は、そう感じたことだろう。この巫女少女の本当の姿を知る、賢吾と、舞台袖で見てるはずの綾子を覗いては。
(美緒、こないだの神楽のときよりも色っぽい顔してる)
 正月に行われた奉納神事の際もギャラリーの視線に昂ぶっていた美緒だが、今日の方がより妖しく、艶やかに賢吾には感じられた。日に日に美しさを増していくこの十九歳が本当に自分の恋人なのかと、そんな不安すら覚えてしまう。
(あ、こっちを見てる……!?)
 まるで賢吾の胸の内を読んだかのようなタイミングで、巫女と目が合った。照明が当たるステージからだと薄暗い観客席はよく見えないはずだが、それでも美緒の目が自分に向けられてるのだと確信できた。
(美緒、ちゃんと見てるぞ。全部撮ってるぞ)
 会場内の乾燥した空気になど負けぬとばかりに目を見開き、瞬きすら惜しんで、賢吾は両目とレンズとで、愛しい巫女娘を追い続けた。


(こ、この順番に悪意を感じるんだけどっ。なんで先生より、素人同然の私があとなの!? 同じベリーダンスじゃ、絶対に比べられちゃうし! しかも、美緒がこんな凄い舞いを披露したら、今度は娘とも比べられちゃうじゃないっ)
 舞台袖に控えていた綾子は、今回のプログラムを組んだ誰か(恐らくは講師とオーナーである直美)を心底恨んだ。呪った。
(せめて賢吾くんがここにいてくれたら、少しは違ったのに。手をぎゅっと握ってもらったら、勇気が出たのに。賢吾くんのバカ。意地悪。いけずっ)
 残念ながら、正式に恋人となった青年は今、客席側にいる。狭い会場なので距離はそう遠くないが、やはり舞台と客席とでは大きな違いが感じられた。
(美緒はいいわよね、あの子は見られたり撮られたりすると興奮する変態さんだから。お正月のときもハアハアしながら踊ってたし)
 もし観客が賢吾のみであれば、綾子も大胆になれたかもしれない。しかし、今日は違う。観客のほぼ全員が教室の関係者とはいえ、人前で肌も露わな衣装で、ソロで踊るというのは、凄まじい羞恥と重圧だった。
(あと一年ちょっとで四十の大台になる子持ちの未亡人のベリーダンスなんて、誰が喜ぶのよぉ……)
 どんどんネガティヴになる綾子をよそに、ステージでは完璧な舞いを披露した美緒が、大きな拍手を浴びていた。先程の講師のダンスにも匹敵する拍手が、綾子をますます萎縮させる。
「次はお母さんだよ。……お母さん?」
 舞台袖に戻ってきた美緒が、綾子を見て首を傾げた。身体を動かしたこととは別の理由で息を荒げ、頬を紅潮させ、瞳を潤ませた巫女は、母の様子がおかしい理由にすぐに気づいたようだった。
「ははぁん。なるほどね」
「な、なによ」
「お母さん、緊張してるんだ?」
「当たり前でしょ。あなたみたいな趣味、ないんだから」
「嘘ばっかり。お母さんだって、賢吾さんに視姦されるの、好きなくせに」
「……ここには、他の人がいるもの」
 暗に、賢吾に視られるのが嫌いではないと認めた綾子の手が、突然握られた。
「大丈夫。客席の賢吾さん、すっごい気合いで見てくれるから。もう、身体の隅々まで、舐めるように視姦してくれるから、他の人なんてすぐ気にならなくなるよ?」
「で、でも」
「賢吾さんが私たちをどれくらい好きか、お母さんもよく知ってるでしょ?」
「……そうね」
 娘なりの激励に、少しだけ気が楽になったそのときだった。
「なにしろ、お母さんのベリーダンス動画を編集して、それを使って一人エッチしてたくらいだもんね、賢吾さん」
 清楚な巫女装束に相応しくない、悪戯っぽい笑みを浮かべた美緒の発言に、綾子の剥き出しの肩がびくりっ、と跳ね上がる。
「な……なぜ、美緒がそれ、知ってるの?」
「賢吾さんを脅し……説得して」
「あなた、今、脅してって言いかけたわよね!?」
 自分の娘を怖い、と思ったのは、これが初めてだった。
「お母さんとの約束でビデオ消したの、残念がってたよ、賢吾さん。だから」
「だから?」
「今日は頑張ってダンスして、賢吾さんに新しいビデオ、プレゼントしてあげたらどうかな?」
 そう言って美緒は、微笑んだ。先程とはまるで違う、柔らかく、優しい笑みに背中を押された綾子は、勇気を出して舞台へと一歩を踏み出す。
(恥ずかしい。恥ずかしいけど……賢吾くんが好きと言ってくれた私のベリーダンスだもの、精一杯踊らなきゃ)
 ステージに現れた妖艶な美熟女に、会場中の視線が集まった。だが、綾子が欲するのは、その中のたった一人のみだ。
(賢吾くん、しっかり見ててね。綾子は今日、あなたのためだけに踊るから)
 リズミカルな曲が流れると同時に、綾子はダンスを開始する。この日のために重ねたどの練習よりも身体が軽かった。
 世界最古の踊りともいわれるベリーダンスを披露する未亡人の美しさと艶めかしさに、会場の雰囲気が変わる。けれど、愛する青年以外を意識の外に追いやった綾子には関係ない。
(見て、賢吾くん。美緒よりもおっきなおっぱいも、しっかり綺麗にしてきた腋も、そしてあなたのおかげでこんなに速く動かせるようになった腰も、全部、賢吾くん専用なのよ)
 ただ一人の男のためだけの舞いは、この場にいる全員を魅了した。内気で流されがちで、苦しいときもただ黙って耐えるだけだったかつての綾子では絶対に踊れない、情熱に溢れるダンスだった。
(好き。好き。大好き。歳上だけど。未亡人だけど。子持ちだけど。でも、あなたが好き。これからもずっと、賢吾くんの側にいさせてちょうだい……!)
 切なく疼く子宮に反応するかのように、綾子は引き締まったウエストを振った。顔のベールが荒い呼吸に合わせて翻るたびに、妖艶な笑みを浮かべた口元がちらちらと覗くのが悩ましい。
(先生が、ベリーダンスは技術や理屈じゃなく、情熱で踊るって言ってたっけ。今ならちょっとだけ、わかるかも。ああ、熱い……身体が勝手に動いちゃう……!)
 練習とは異なる動きを知らずにしていた。アドリブなんて絶対にできないと思っていたのが嘘のように、リズムに合わせて身体が躍動する。
(このままずっと踊り続けたい気分。こんな気持ちになったの、初めて)
 けれど、終わりのときはやってくる。寂しさと、やりきった満足感とを同時に味わいながら、綾子はフィニッシュのポーズもしっかり決めた。
(大丈夫。私には……ううん、私たちにはまだ、別の発表会があるんだから)
 プロダンサーである講師や美緒の優麗な巫女舞にも負けない拍手をもらいながら、未亡人ベリーダンサーは、マスクに隠れた口元に、艶めかしい笑みを浮かべるのだった。


(まずいな、思ったより遅くなっちゃった。綾子さんと美緒、怒ってなければいいけど)
 発表会のあとに行われた打ち上げに続き参加した二次会を途中でこっそり抜け出した賢吾は、小走りで自宅マンションへと向かう。考えてたよりも早めに脱出できたのは、母直美が手助けしてくれたからだ。
(お母さんのあの妙な笑顔と「頑張んなさい」って言葉が気にはなるけど)
 もしかしたら内田母娘との関係でなにか気づいてるのかも、と思う。とにかく勘のいい人間なのだ。経営者としても、一人息子を持つ母親としても。
「お、遅くなりましたっ」
 息を切らして帰宅すると(合鍵はそれぞれに渡してあった)、綾子と美緒が出迎えてくれた。一人暮らしをしてる賢吾にとっては、もうこれだけで頬が緩む。が、
「……お帰り」
「……お帰りなさい」
 今夜に限っては、緩んだ頬がすぐに引き攣ってしまう。なぜなら、二人が明らかに機嫌を損ねていたからだ。
「お、怒ってます、よね?」
「怒ってないけど」
「怒ってませんけど」
 セリフと表情がまったく一致してなかった。できるだけ急いで帰ったつもりだったが、二人にはそれでも遅すぎたらしい。
「すみません、でした」
 深々と腰を折って謝罪すると、綾子と美緒がはっと息を呑むのがわかった。
「ううん、いいの。あなたが急いで帰ってきてくれたのはわかってるから」
「ただ、私もお母さんもずっと今夜を楽しみにしてたせいで、つい……。こちらこそごめんなさい、賢吾さん」
 賢吾に負けじと、美熟女と美少女も深く頭を下げてくれた。玄関で、三人揃って腰を折り曲げてる自分たちの姿が急に滑稽に思えてきて、賢吾は笑い出す。すると、綾子と美緒もつられて笑い始めた。
「俺のほうはいつでも大丈夫ですが、すぐに始めます?」
「ええ。私も美緒も、とっくに準備できてるから」
「お母さん、もうずっとそわそわしてたんですよ。賢吾さんに笑われないかな、引かれないかなって、うるさくて」
「あ、あなただって賢吾くん待つあいだ、ずっともぞもぞはあはあ身悶えてたくせにっ」
 うっすら頬を赤らめながら互いに言い合う母と娘のどこか滑稽で温かな光景に、賢吾は再び笑ってしまう。
「な、なんで笑うのよっ。賢吾くんのバカっ」
「だいたい、賢吾さんがもっと早く帰ってきてくれないのが原因なんですよ!」
 さっきまで言い合っていた母と娘が、同時に賢吾を睨む。好きな人たちから睨まれるのも、これはこれでいいものだな、などと思ったが、口には出さないでおく。代わりに、肩から提げていた大きなバッグをぽんぽんと叩き、
「お待たせした分、これでしっかり撮るから、それで許してくれませんかね?」
 と提案する。
「そ……そうね。それなら……うん」
「はい。綺麗に撮ってくださいね、賢吾さん」
「俺の腕に関係なく、美緒ならどう撮っても綺麗になるよ」
 賢吾の言葉に美緒は恥ずかしげに俯き、綾子は物欲しそうに濡れた瞳を向けてきた。
「もちろん、綾子さんもね。誰が撮っても、文句なしの美人ですよ」
「ありがとう。だけど、誰でも、じゃないから。あなたの前だから、よ。女は、好きな人の前に立つときが一番、綺麗になれるの」
「はい。それじゃ頑張って、綾子さんと美緒の、最高に綺麗な姿を撮らせてもらいます」