地方都市「マキジマ」に住む幸司は、今夜も地元の溜まり場で子供の頃からの仲間と過ごしている。地元から出ようとしない若者を最近「マイルドヤンキー」とか言うらしい。居心地はいいが、ずっとこの生活が続くのかと思うと不安もある。幸司には香奈という彼女がいるが、なかなかセックスをOKしてくれない上に、突然キャバクラで働き始めたりして喧嘩中だ。
そんな悶々とした日々を送る幸司は、東京から来た年上の美女ユリアと知り合う。そして、小悪魔的なユリアに翻弄され、平穏だった幸司の日常が変わり始めていく…。
最先端青春エロス!

 まさかマイルドヤンキーを題材にした官能小説が出てくるとは……という驚きが第一印象でした。思い切り意表を突かれました。作者と編集、どっちだ、これテーマにしようとか言い出したの(笑)。

 イロモノなのかな、と先入観を持ちつつ読み始めますと、冒頭こそマイルドヤンキーという概念?の説明っぽいシーンがちょっとだけありますけど、それ以降は(変な意味での)特殊さは感じません。
 実際は、ちゃんと地元意識とか、都会への気持ちが中盤〜後半にかけて出てくる女性キャラたちとリンクして、ちゃんと物語に組み込まれています。ここらへんの巧みさはさすがです。

 ちょっと若さと性欲を持て余し気味だけど、根は悪いやつでない主人公が歳上の魅力的なヒロインたちとの出会いやエッチで色々なことに気づいたり考えたり悩んだりむふむふしたりする、というのがすっげぇざっくりしたあらすじとなります。ざっくりしすぎだろ、私。

 しかし、このむふむふシーンが秀逸なのです。官能小説のキモでございます。
 完全ノーマルでもないですけど、決して奇を衒ったシチュではないのにやたらとエロいです。映像系のエロスというのでしょうか、その濡れ場がヴィジュアルとしてイメージしやすい文章に感じます。使ってる言葉は特別なものではなく、むしろ平易なものなのに、その組み合わせとチョイスが絶妙なんでしょうか。

 メインヒロインである幼なじみに対する主人公のデリカシーに欠ける言動には若干イラッとしますが、最後はきっちり決めた(別の意味でもな!)から許しましょう……と、なぜか上から目線。

 三人のヒロインとのエッチシーンがどれもエロエロで、官能小説の濡れ場とはこうあるべきだな、と感じました。


 それはともかく、ネコちゃん(男)のカレーが食べてみたいです、はい。