消える総生島 名探偵夢水清志郎事件ノート
はやみねかおる


読めば楽しくなる本格ミステリ
霧に包まれた孤島の館 はやみねマジック開幕!

万能財団が総力を挙げた映画ロケに招待された亜衣たち三姉妹。呪われた事件は必ず起きると脅かして、名探偵清志郎も総生島行きのクルーザーに乗り込む。撮影は快調。だが鬼伝説の孤島に取り残された一同に忍びよる無気味な事件。人も山も館も島までもが消えた! 本格ミステリ色が一段と濃い「夢水」第3章!


 閉ざされた孤島!
 怪しい館!
 おどろおどろしい伝説!
 そして幻想的な謎!

 ミステリの醍醐味がてんこ盛りでございます!

 元はジュブナイルなので、もちろんこてこての本格ミステリではありませんが、だからといって面白さが損なわれてるわけではないのです。ここ重要。

 ある程度ミステリを読んでる人間にはだいたいのトリックや動機は見当が付きますが(私でも半分くらいわかりました)、この作品・シリーズの醍醐味はそこではなく、芳醇な、そして濃縮されたミステリのエッセンスを味わうことにあるのです。

 ミステリを知らない少年少女たちだけでなく、すれてしまった大人に「あの頃」のどきどきを、そう、赤い夢を思い出させてくれるのです。


 ラストはとても美しいですね。小説としても、ミステリとしても。