とらドラ6!
竹宮ゆゆこ(著)・ヤス(イラスト)


生徒会長選挙迫る! 本命の北村、グレる……!

文化祭以降、少し距離が縮まったような竜児と実乃梨。
一方、学校内には大河と北村が付き合っているという噂が流れる。
そんな中、迫る生徒会長選挙でも本命と目されていた北村は突然…… グレた。
それに対して、突き放すような態度をとる、現・生徒会長のすみれ兄貴。
やたらと攻撃的な幼なじみの亜美。 心労で老けていく独身。
竜児と大河は北村がグレた原因を突き止め、立ち直らせようと奮闘するが……。
そして、すべてが白日のもとにさらされたとき、大河がとる選択は……。
波乱ぶくみの超弩級ラブコメ・第6弾!


 今回はこれまでとは少々雰囲気が違うように感じました。いよいよ物語が本格的に着地点(あるとしたら、ですが)に向けて動き始めたのかな、などと勝手なことを考えてみたり。

 4、5巻辺りからその兆候は感じられましたが、次巻からはもっとこの傾向が加速するような気がします。


 ネタバレになるのであまり詳しくは書けませんが、ある登場人物が感じている劣等感、そして絶望感に、私は激しく共感しました。

 自分に自信がある人間には決して理解できないあの負の感情は、経験した者にしかわかりません。わかるはずがありません。

 私の場合は二十歳頃に、そんな強烈な思いを味わいました。
 それまではほとんど盲目的に信じていた自分の文才の、あまりの矮小さに絶望した瞬間です。

 あのとき以来、私は常に劣等感を抱きながら、それでもしつこく書き続けています。最近、ちょっとだけ、本当にちょっとだけ、自信がついてきたかもしれませんけれど。

 願わくば、作中のあのキャラにも、そんな瞬間が訪れることがありますように。


 なお、後半で、意外な人物の、あまりに意外な乱れっぷり?が見られます。これはさすがに予想外でした。ある程度は予測してましたが、あそこまでやるとは……!