ぶたぶたと秘密のアップルパイ
矢崎存美


イラストレーター森泉風子は、不思議な会員制喫茶店への特別招待券を手に入れた。
そこでは、誰にも話せない秘密をひとつ、店員に話さなくてはいけないというのだ。
その店員というのが……見た目は可愛いぶたのぬいぐるみだが、中身は心優しき中年男・山崎ぶたぶただった。
客たちはみな、ここで心の荷物を下ろし、新しい人生へと踏み出す勇気をもらってゆく――。


 おなじみ「ぶたぶた」シリーズ最新刊……といっても、発売は昨年末ですが。

 いつものように複数の短編がまとまって一つの長編となる構成になってます。もちろん、その中心にいるのは我らが山崎ぶたぶたさん。今回は喫茶店の店員やってます。刑事やったりホテルマンやったり会社員やったり、ぶたぶたさん、相変わらず凄いです。もちろん、話は繋がってませんけどね(パラレルワールド?)。

 途中、ちょっと重たい話が出てきますが、そこはぶたぶたシリーズ、ちゃんとハッピーエンドになりますのでご安心を。

 結構シリアスな設定も多いシリーズですが、それを重い、イタイ、辛いと読者に感じさせない、けれどいい加減に扱ってるわけではないというところに作者の矢崎さんの筆力が発揮されてます。このシリーズ以外の作品でもそうですけどね。

 文章自体に軽やかさというか爽やかさがあって、リズミカルで、読みやすくて、それでいて押さえるべきところはしっかり描写している。

 私もこんな文を書いてみたいです。


 これ読むと、アップルパイが食べたくなりますね。あと、美味しいコーヒーも。
 ぶたぶたさんのいるこの喫茶店に行ってみたいです。