ROOM NO.1301 #9 シーナはヒロイック!
新井輝


「今、出来ないからって焦る必要はない」と、綾は健一の気持ちを肯定してくれる。健一は普通の恋愛が出来ない。でも、出来ないことにこだわっても何も出来なくなるよりは、別の何かを探せばいいのだと。
振り返ると、日奈だってそうしていた。日奈のままじゃ佳奈に気持ちを伝えられない。だから日奈はシーナになった。シーナなら、歌に託してなら、その気持ちが伝わると信じて。
健一は思う。普段困らせられることの多い綾だが、本当に聞いて欲しいことはちゃんと聞いてくれるのだ。それに比べて、自分は彼女に何をしてあげられるだろう――。
そう考えながら中華街へデートへ赴いた健一は、綾から「ずっとして欲しかったこと」を聞き、彼女と真剣に向き合うことに。一方、幽霊マンションで皆とシーナ&バケッツのライブ録画を見た日奈は、ある決意を固める。時に可笑しく、時に切ない健一の恋愛を探求する物語第九弾!


 富士見ミステリー文庫だから、というわけじゃないでしょうが、少なくともこのシリーズにおいて作者の新井さんは読者に対してきっちりと(あるいはこれ見よがしに)伏線のヒントを散りばめておいてくれてます。
 もちろん、冒頭にある5年後の話が最大のヒントなのですけども。

 いよいよ物語も終盤を迎え(……多分)、各登場人物たちのエピソードが収束し始めていきます。
 今回はシーナの恋がメインですが(次巻では健一と……?)、個人的には綾さんとのピーが嬉しかったです。変な意味ではなく。

 残念だったのは、俺の嫁蛍子様の出番がなかったこと。

 あ、今回もあとがきは色々な意味で炸裂しています。恐らく、次巻では別の意味で炸裂するかと。作者の頭部辺りとか。