通常サイズここは妖怪メイドアパート
青橋由高(著)・有末つかさ(イラスト)
美少女文庫

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「あたしたちのご主人様になって」
座敷童の八千代、吸血鬼のダナ、猫憑きの久遠――祖母が遺してくれたアパートは妖怪メイド付き!?
千年処女おねえさんと初体験
銀髪クールな吸血鬼が咬み咬みご奉仕
ツンツンお嬢様は猫憑きデレ
4P競争でめくるめく、トリプルメイドハーレム荘!

 2014年6月18日配本開始、20日頃発売。通算42冊目(フランス書院文庫4冊含む)。

 かなり以前から、それこそ5年以上前から(もっとか?)、アパートや寮の管理人が主人公ってネタの企画はありました。定番中の定番ですしね。
 ただ、それだけだとちょっと属性というかセールスポイントが弱いってことで日の目を見なかったのです。
 また、人外娘ネタも同じくらい昔からやりたいと言ってましたけどなかなか企画が通らず実現しませんでした。だから同人誌で「引きこもりじゃないもん!」なんての書いたんですが。私が書くと座敷童はダメお姉ちゃんになるんだな……。

 なにはともあれ、人外っ娘の住むアパートもの、という企画が決まりました。
「もちろんメイドで」
 ……は? なにかほざきましたか担当さん。
「もちろんメイドで」
 ちょっ、待てやゴラ、なんでもメイドにすりゃいいってもんじゃねえぞ。どんだけ私をイロモノメイド作家にするつもりじゃ。
「では、人外メイド娘アパートでハーレムでよろしく」
 ……どーしろと。

 取り敢えずヒロインが3人ってのは決まってたんで(4人だと多すぎてページに収まらないし、2人だとあまりアパートハーレムって感じにならない)、まずはどんな人外っ娘にするか考えました。
 座敷童が一番最初に決まったのかな? 一度書いてますしね。
 次が吸血鬼だったかな? 一度書いてますしね。
 最後がツンデレ没落お嬢様で……って、人外じゃねーぞ!?
 ってか、吸血鬼って妖怪か!? 妖怪アパートとか言ってるけど厳密には1人しかいねーぞ!?
 ここらへん、広い心で読んでやってください。作業の終盤になるまでこの事実に気づかなかったんですよね、私……。

 各ヒロインについては、書き始めと最終稿ではかなり変わりました。もう笑っちゃうくらいに。
 一番変わってないのは座敷童の八千代で、企画段階のコンセプトである「なぜか成長しちゃって着物がぱつぱつ」ってところもほぼ残ってます。お姉ちゃん属性は書いてて勝手につきました。私の中の弟魂が無意識に発動したとしか思えません。

 唯一の人間(ただしやたらと霊に取り憑かれやすい)ツンデレ担当の久遠は、性格はそのままだったんですが、口調をどうするか、本当にぎりぎりまで悩みました。

 ヴァンパイアのダナに関しては、当初は無口、次に毒舌、結局最後はあーなったわけですけど、こっちも相当難産でした。どうしても過去のキャラ(くららの流れ)とダブっちゃうかなぁ、と思って。

 そうそう、今作は色々と過去のキャラと重なってるところが多いです。
 昔から青橋作品を読んでくださってる物好き……げふんげふん、ありがたい読者の方ならにやりとするような部分があちこちにあります。
 当初は全然意識してなくて偶然でした。途中で気づいてからはある程度意図的にやってみましたけれど。

 ダナの「勘違いメイド観」はどっかの誰かさんを彷彿とさせますし(作中に出てくるメイド協会は彼女たちが中心メンバーです)、吸血鬼の牙に関する設定はもちろんあのツンデレと同一です(この二人は面識があります)。
 中盤、ダナと主人公の八雲の距離が縮まるきっかけとなったあのエピソードはもちろん「彼女はヴァンパイア!」を意識してますし。ネタの使い回しとか言うな。
 後半、「トリプルメイド」って単語が何度も出てくるのも、そういったことを自覚したせいです。

 この他にも過去の作品のテイストがちょっとずつ散りばめてありまして(作者しかわからないようなフィーリング的なものも含めて)、そういった意味では面白い一冊になったと思います。自分としては。

(その2に続く)