ページの関係でカットした、かなりどーでもいいシーンですが、せっかくだから晒しておきます。
 元ネタはこの作品。

生徒会長は妄想系生徒会長は妄想系
青橋由高(著)・天河慊人(イラスト)
美少女文庫

 本編の32ページと33ページの合間の買い出しシーンです。エロはなし。

 こういうおバカなところを書くのが凄く好きです。

(以下、カットシーン)
 舞奈と幹夫の自宅近くには、最近できたばかりの大型チェーン店と長年地域住民に愛されてきたこぢんまりとした個人商店の、二軒のスーパーがある。
 確かに値段や品揃えではチェーン店に分があるのだが、今回舞奈が選んだのは個人商店のほうだった。
 買い物カゴを取ろうとすると、幹夫がさりげなく、自然な素振りで持ってくれる。こういうなにげない優しさは子供の頃から変わらない。

(ふふ、本当の幹夫を知ってるのは私だけね)

 軽い優越感を覚えつつ、野菜コーナーへと向かう。

「あ、俺、セロリだけは駄目だからな?」
「なんでもいいって言ってなかったっけ? 私の作るものならなんでも美味しいって」
「う……」
「わかってるわよ、幹夫の苦手なものくらい。何年アンタと付き合ってると思ってるのよ」

 苦虫を噛み潰したような幹夫の顔をくすくす笑いながら、ずらりと並んだ野菜を物色していく。

(さて、今日は無難にカレーにでもしようかな。作り置きしておけば明日も食べられるし)

 この店では周辺の農家から直接買い付けた野菜が抱負に並んでいるのがウリなのだが、形のいびつなものも多い。そのぶん安くて美味しいが、

(うわ、これ、まるでアナルプラグみたい)

 小さなニンジンを手に淫らなオモチャを連想したり、

(このブツブツだけでもエッチなのに、この曲がり具合が卑猥すぎ……っ)

 キュウリを前に挿入時の感覚を妄想したり、

(定番中の定番よね、やっぱり……!)

 つやつやとしたナスをすりすり撫でてみたり、

(エロい、エロすぎよ、この形はぁ!)

 箱の中に飾られたマツタケを見てごくりと唾を飲み込み、

(これで痒み我慢させられるのもいいかも……ぉ!)

 挙げ句の果てには、山芋を使ったマニアックなプレイにまで思考が飛躍するのが舞奈という少女なのだ。

「なぁ、さっきからなんで野菜ばっかりチェックしてんだ? 今夜はカレーにするんだろ? それとも、もう一品用意するのか?」

 カレー用のジャガイモやタマネギなどの入ったカゴを持った幹夫が不審そうにこちらを見ている。

「そうね、それもいいかもね」

 適当にかわしつつ、今度は精肉コーナーへと向かう。

「俺、牛肉がいいな。ごろんとした、でっかいやつ」
「んー……牛も豚も鳥も、カレーにはなんでも合うんだけど……」

 セール品を中心に色々見比べていく。

(お肉って、なんかエロいよね。ピンク色だし、ぷにぷにしてるし、まるで……オマ×コみたい)

 鳥の胸肉をビニールの上からむにむに押しながら、またもや淫猥な妄想に耽る生徒会長。

(でも、やっぱり一番エロいのは豚よね。ああン、この牝豚、なんて幹夫に罵られながら辱められたら、私、きっとぶひぶひ鳴いちゃうかも……っ)

 想像しただけでも下腹部が淫らに疼いてしまう。
 世間は広いが、スーパーの精肉売り場でここまで発情してしまう女子高生もそうそういないだろう。

「なーなー、俺、この肉がいいな。ちょうど特売やってるし」
「ダメ。今日はこっちのお肉」

 幹夫の持ってきた牛肉を拒み、舞奈が選択したのは、もちろん豚肉である。

「今夜はポークカレーに決めたから。さ、お客さん増えてきたから、さっさと買い物済ませるわよ」

 不満そうな幹夫を置き去りにして、次の売り場へと向かう。
 夕方という時間帯のせいだろう、店内が徐々に混み始めてきた。主婦たちのなかに学生服姿の高校生カップルがいれば、当然目立つ。

「うう、だからお前と買い物に来るのは嫌だったんだよ」

 周囲の視線に居心地悪そうになる幹夫とは対照的に、舞奈は堂々としている。外見からはわからないが、心中はかなり浮かれてもいる。

(みんなにはどんなふうに見えてるのかな。やっぱり恋人同士、よね。学校帰りに一緒にスーパーだもの、当然、夕食は一緒にって思われてるはず)

 さっさと買い物を済ませたいオーラを滲ませる幹夫をよそに、舞奈はことさらゆっくりと売り場を進む。無論、この心地よい時間を長引かせたいためだ。

(学生結婚した若夫婦には見られなくとも、ご飯のあとは当然、二人でエッチする関係って思われてるわよね。ああん、私と幹夫が若さに任せてケダモノのようにまぐわう姿、買い物中の皆様に想像されちゃってるわ……!)

 カレーに合うラッシーも用意しようと、ヨーグルトや牛乳も買い物カゴに入れる最中にも、

(こんなもの買わなくても、自家製のミルクを使えばいいだろ、なんて思われてるのね。若いんだから、きっとヨーグルトみたいな濃厚なザーメンなんでしょ、とか、もしかしたらもう妊娠しててミルク出るんじゃないの、とか!)

 舞奈の妄想は暴走する一方だ。
 もちろん、実際には、

「あら、可愛いカップル」
「初々しいわねー」
「わたしにもあんな時代があったなぁ」

 という目で見られてるに過ぎないのだが。