生徒会長は妄想系生徒会長は妄想系
青橋由高(著)・天河慊人(イラスト)
美少女文庫

公式サイトはこちら(サンプルあり)
成績優秀、みんなの憧れ、幼なじみの生徒会長・八神舞奈
──そんな私がエロエロ妄想系でがっかりしちゃった?
でもでも、ずっとあなたの告白、待ってたの! 
言葉だけでビクビク絶頂
メイド姿でラブラブ奉仕
首輪制服でマゾマゾ調教
アナタの恋人は私だけ。
世界一重〜い恋を受け取って

 2009年10月発売、通算23冊目。

 天河慊人さんとはこれが三度目のコンビとなりますが、4人(「お嬢様フォーシーズンズ」)、2人(「W新婚お嬢様!」)と来て、遂にヒロインが1人と、まさに少子化日本をなぞるかのように減少してます(笑)。

 これには明確な理由がありまして、最初に4人やって、次が2人。となると次は3人か1人ですが、この前に「トリプル押しかけ許嫁」で3人ヒロインやったから、じゃ、消去法で1人だね!……と。嘘みたいな本当の話。基本的にヒロインの数はローテーションです(笑)。

 5人でもいいじゃないか、という声もあるかもしれませんが、これまた明確な理由があって却下されました。
 まず、3人、4人でも死にそうだったのにそれ以上増やせるか!……という青橋の意向と、「ヒロインは少なくしてください。お願いですから」とイラストの天河さんに頼まれたため(笑)です。
 どのイラストさんも言いますけど、文庫サイズの、しかも縦形式で複数キャラを描くのは本当に大変らしいです。
 ま、そうは言っても、次はほぼ間違いなく複数ヒロインですから覚悟しておいてくださいね、天河さん。順番で行くと3人?
 無論、次も組ませてもらえる機会があるなら、の話ですけども。

(以下、ネタバレあるので未読の方は注意)
 単独ヒロイン、妄想癖のある生徒会長、という原案はかなり前の段階から決まってました。うろ覚えですが、多分1〜3月くらいにはそういう話を担当さんとしてたような記憶が。
 ただ、このときはどちらかというと腐女子ヒロインというイメージでした。もしくはむっつり系。

 当時のメールを見ると……うわ、6月末の時点でまだ「生徒会長にするかお嬢様にするか」とか書いてる!? ってことは……わー、よく間に合ったなぁ……。
 プロットのゴーサイン出たのが7月21日。このとき私は「普段は清楚な生徒会長、しかし裏は電波なエロエリート」と書いてますね。
 プロットには、
「好き好きお姉ちゃん」の斗和子のような、ちょっと行き過ぎた愛情の電波ヒロインの姿をねっちり描く
・見た目とは裏腹にとにかくエロエロな妄想するヒロイン」

 とメモしてありました。この時点でだいぶ舞奈のキャラができてますが(まだ名前はつけてない)、私の中ではもうちょっと普通のヒロインでした……(と、遠くを見るまなざし)。

 余談ですが、これと並行してもう一本別の作品もやってまして、二日で二本のプロット書いてました(ちょうど今、追い込んでる原稿がそれ)。

 舞奈という名前は、私が子供の頃好きだったコミック、「人類ネコ科」という名作ラブコメのヒロインから拝借しました。
 作者のみず谷なおきさんが夭折されたときはショックでした……。
 オリジナルの舞奈とは似ても似つかぬ変態にしてしまったことをお詫びします、みず谷なおき先生。いつかあの世で謝罪に行きます。

 主人公の幹夫、という名前は性格は関係なく、容姿だけで松永幹夫さん(元JRA騎手、現JRA調教師)を連想して拝借。ごめんなさい。だってミッキー、カッコイイんだもん。

 さて、実際に執筆に入ったのは7月下旬で、〆切は8月中旬でした。イラストの天河さんがコミケ終わった直後から作業してくれるので、それまでに書き上げてくださいね、というわけです。
 しかし……はい、できるわきゃないですよね、この遅筆帝王の青橋が!
 そこでこのダメ人間は天河さんに「すんません! 間に合いませんので先にキャラデザだけお願いします!」と裏交渉謝罪するため、直接コミケ会場に乗り込みました
 このときのブログではさすがに書いてませんが、天河さんのところであれこれ作品について打ち合わせしてたんです。キャラのイメージとか、どんなコスプレさせようか、とか。

 8月27日のメール記録を見ると「電波生徒会長」という仮タイトルがありまして、この頃にはもう舞奈のキャラは確定してたようです。
 当初はもっと優等生というか普通のヒロインだったはずなのに、実際に書き始めたらどんどん電波でストーカーで重いキャラになっていってて、正直、「これ、読者に引かれるんじゃ?」とかなり悩んでました。
 私自身はこーゆーキャラ大好きなんですどね。「つよきす」で一番好きなのはよっぴーこと佐藤良美だし! 猟奇方面に行かないヤンデレは可愛いと思います……二次元限定ならば(ここ重要)。

 私はこれまで、みなさまのおかげで20冊以上も書かせていただきましたが、今回初めて、「ごめんなさい、この作品、なかったことにしてくれませんか」と担当さんに泣きつこうと本気で考えました
 第2章を書いてる頃ですかね、自分でもこのキャラたちがどこに向かうかわからなくなって、収拾がつくのか不安になったんです。
 強引にまとめることはできても、それが面白いか、まったく自信がありませんでした。〆切もキツかったし、体調悪かったのも辛くて。

 最後の頃になると「ええい、電波でストーカーでヤンデレでもいいじゃん! これはこれで好きなんじゃあああッ!」とヤケになって開き直り、売れなかったら次頑張ればいいや!……くらいの気持ちでした。
 同時発売が橘真児さん、わかつきひかるさん、河里一伸さんだから、私がコケても代わりがいるもの、みたいな心境だったし。天河さんには迷惑かけちゃうけども。

 作中に出てくる「幹夫捕獲計画レポート」、あれは完成直前になって急遽思いついたネタで、そのぶん、ちょっと錬りが甘かったなあ、と反省。「キスキス〜彼女は妹ウエイトレス!」みたいにもっと本文ときっちりリンクさせたかった、というのが本音です。自分の能力不足を痛感しました。

 毎回毎回「ページが足りねえ!」と騒ぐ私ですけど、実は今作は余裕でした……第一稿の時点では。
 実は第3章のエッチシーン、あれ、「これこれこういう服でこーゆープレイした」という一文だけだったんです。だけどエッチシーンが足りないよね、ページ余裕あるよね、となって急遽書き足し。まあ、できるなら書きたかったから私としたらラッキーですけど、調子に乗って他のところも書き足しちゃった(幕間のレポートもそう)ため、やっぱり上限いっぱいになってしまったのです。
 問屋さんの発売予定リストでは定価680円だったのが、実際は700円になってたのもそのせい。ごめんなさい。

 じゃあいつものようにカットしたシーンはないのか、というと……やっぱりあります。序盤、舞奈と幹夫が二人で買い物するところがあったのですが、ばっさり削りました。そのうちブログで公開します。

 表紙を見ると色々なお遊び要素が入ってますが、あれは私はタッチしてません。だから、巽飛呂彦さんの作品を見たときはびっくりしました。どうやら巽さんご本人にも無許可で担当さんが指示した模様。
 巽さん、勝手にすみませんしたっ! いずれ謝罪に参ります!

 イラストの天河さんは今回も素敵な挿絵を描いてくれましたが、青橋のイチオシはなんといっても79ページ! あれはエロい! エロすぎ! あーゆーのを求めてたのです!


 発売後、意外なことに好評でして、一番驚いてるのは実は私自身だったりします。
 …………よし、またいつかヤンデレ書こう(笑)。