メイドなります!―さよなら (美少女文庫)メイドなります!〜さよなら
青橋由高(著)・ポチ加藤(イラスト)
美少女文庫

公式サイトはこちら(サンプルあり)

「ご主人様、由佳里は世界でいちばん幸せなメイドです」
ウェディングベールをめくりあげ、想いをこめた口づけ。
エプロンドレスからこぼれた美巨乳も、最高の快感をくれた秘唇の温もりも、僕はきっと忘れない。
5Pハーレム、新婚ご奉仕……想い出をいっぱい残して……さよなら、最愛のメイドさん!

 2006年12月発売。通算13冊目。

 はい、お待たせしました、ネタバレになるから敢えて発表を保留していた「メイドなります」第一期シリーズの最終巻「さよなら」の自己解説です。
 先月に発売された第二期シリーズ「もっとメイドなります!」を読んでることを前提に書いてますので、未読の方は以下を読まないほうがいいかと。

 さて、この作品ですが、どうしてこういう内容になったのかと言いますと……編集部の指示です、完璧に。私は当分は、人気がなくなる(売れなくなる)まで続ける気でいましたから。そりゃいつかは完結編を書く日が来るでしょうが(構想はあります)、それはもっと先だと思ってましたから。事実、悪くない数字だと自負してましたし(内容には自信ないですが、イラストには自信あり!)、なにより、まだ書きたいネタが山ほどありましたから。文化祭ネタもやってないし。

 年末に刊行することはだいぶ前から決まってましたが、「終わりにしましょう」と別れ話みたいに切り出されたのは、執筆開始直前でした。私は文化祭ネタを書くつもりでした。それか、前々から計画していた新メイドを出そうかな、とか。

 その後、「終わらせるなら他社で書く」とマジギレした私を哀れに思ったのか知りませんが、「一時的に終わりにして、すぐに新シリーズとして再開しましょう」と路線変更されて、承諾。
「さよなら」を出して数ヶ月後に「ただいま」って出したらウケますよね、なんてくだらないネタで盛り上がってました。読者に怒られるような気もしましたが。

 そこで、どうせだったらわかる人、ちゃんと読める人にはすぐにそれとわかるように「すぐに続きが出るよ」ってメッセージを散りばめようと考えました。ここらへんは後述。

 ストーリーは、由佳里さんがどっかに行っちゃうってことに決まりましたけど、あとは全然でしたね。もうね、本当に悩みました。スランプでしたし、この頃。
 決めてたのは、メイドが全員出ること。これは譲れませんでした。そのほうが最後っぽいし。
 それと、ウェディングドレスでの新婚プレイを是非書きたかったんです。だって……エロいですよね?(笑)
 だから、ああいう話になりました。恐ろしく強引な展開ですが、それはいつものことなので気にしないよーに。

 メイドが全員出る、しかもみんなしてドレスを着る、さらには全員デザインが違う。そしてそんな状態でハーレムエッチ。
 書くのも大変ですが、一番大変なのはイラストのポチ加藤さん。泣いてました。死にそうでした。
 ちょっと前、「もっと〜」の作業中に釘を刺されましたもの、
「もう二度とウェディングドレスは描きたくないです」
 と。すみません。善処します。

 書き始めるまでは色々ありましたが、作業がスタートすればいつもと同じく勝手に由佳里さんや美沙たちが動いてくれるので、楽しく執筆できました。ふてくされてたのは本当に最初だけです。
 今回もあちこち試行錯誤してるので辛いこと、大変なことは多かったんですが(この頃からスケジュールがキツくなって破綻して今に至ります)、新シリーズをどうしようか、なんて考えながら書いてたので、そういう意味では楽でしたね。本当に終わりだったらそれどころじゃなかったでしょうし(そもそも書かなかったはず)。


 困ったのは、発表してすぐに山のように「どうして終わらせた」「納得いかん」というメールが届いたことです。
「絶望した! もう二度と買わない!」「死ね!」ってのもありました、マジで。
「私のせいじゃない、怒るなら編集部に言え! ええい、全部フランス書院に転送しちゃろうか!」と本気で思いましたが、大人げない(どの口が言うか)のでやめました。その代わり、すぐに復活しますよ、と内緒で返答してました。

 面白いことに、同業者さんは100%、「続き、あるんですね」とわかってくれました。ただ、読者全員に伝えられなかったのは私の力量不足ですね、反省。

 以下、作中の(わかりにくかった)ヒントです。「もっと〜」でも言及してますけどね。

・由佳里は作中、ただの一度も祖母の具体的な治療期間を言ってない
・「長い間」とは言ってるが、これはあくまでも由佳里の主観(嘘はついてない。本気でそう思ってる)
・紗耶子は具体的な治療期間を知っているから、勝たちと違って違和感を覚えている
・だから最後まであまり由佳里との別れを惜しんでない(どうせすぐ帰ってくるとわかってるので)


 そもそも、あのエピローグ見て「本当に終わるわけねーだろ」と思った貴方。正解です(笑)。



 おかげさまで過去の作品同様セールスは好調で、なんの問題もなく新シリーズに突入できました。ありがとうございます。

 ちなみに、今後は年に1作くらいずつ、まったりのんびりとやっていく方針です。それくらいのペースが、私にも、ポチ加藤さんにもちょうどいいですしね。どっちも手が遅いので。