うぶこい
うぶこい応援委員会(著)・屡那(イラスト)

青春が狂い咲く高校生活の真っ只中、5人の少女は突然現れた天使(?)から、ある少年を災厄から救って欲しいとお願いされてしまう…。
恋愛未体験の少女たちが贈る、ドキドキ&ちょっと切ない系ウブ恋ストーリー。


3人の著者による合作?のようですが、そのうちの一人がわかつきひかるさんということで読んでみました。

5人のヒロインがそれぞれの視点から一人の主人公を狙う(笑)という話が1章ずつ、計5章あるのですが、独立した短編でありつつ、きちんと本編に沿っているところがうまいですね。こういった形式の本では常套手段なんですが、書くのは大変なんですよ?……と、書く側の視点でつい見てしまう私です。

登場ヒロインが凄いですよ、「ここまでやるかジグザグ!」というくらいど真ん中直球で攻めてきます。お約束帝王の青橋ですら怯ませる怒濤の5人は、

・素直になれない幼なじみ
・気の弱い幼なじみ(ロリ風味?)
・ツンデレお嬢様(学園のアイドルですよ!)
・内向的な読書少女withメガネ
・マッドサイエンティスト風味の先輩(ボクっ娘っ!)


ねえ、これ、どこのギャルゲー!?(笑)

一人の男子生徒を巡るヒロインたちという図式、なんだか色々裏設定がありそうな舞台といい、語弊を招くのを覚悟で言えば、「ギャルゲーを小説でやってみた」作品という印象が強いです。悪い意味じゃなくてですよ?

そもそもこのジグザグノベルズ、ネット上で小説を公開して、人気投票で上位の作品を刊行するというユニークな試みをやってるんですよね。創刊当初は全然書店で見かけませんでしたが、最近はちらほら並んでますし、意外と……と言ったら失礼ですが、超激戦のライトノベル界で頑張っている感じです。
この「うぶこい」もネット上で色々展開してます
こういうアプローチも面白いと私個人は思いますね。フランス書院だとこうはいきません……担当編集者が一人しかいないから、そんな労力かかることができない(^^;

さて、肝心の感想ですが……非常に評価が難しいのも事実です。
単純に「面白い」のは確かなんですが、章ごと、あるいはキャラ毎に好き嫌いが結構あるかもしれません。
たとえば私だったら3章の薫と4章の光音が好きですが、これは人によって違うでしょう。それこそギャルゲーのヒロインごとに好き嫌いがあるようなもんです。
ある程度独立した話であるがゆえの問題ですが、逆に、5人のなかに一人でも好きなキャラがいたらそれでいいとも言えますね。
ここらへんは書いてる側もわかっててやってると思います。本当に新しい試みです。

もう一つ評価を難しくてしてるのが、「これ、続くの?」という問題です。
明らかに続編を考えてると思しき設定が色々あるんですが、当たり前ですけど、これが消化しきれてません。単発作品だとマイナス評価になりますが、シリーズの第一作ならば今後プラス評価に繋がる可能性もあります。
まあ、多分シリーズの第一作という位置づけでいいだろうと私は勝手に断定して読みましたけど。

ということで、青橋個人の感想は「普通に面白いですよ」ということで

オススメは前述の通り、第3章と第4章。ストーリー的には第5章も嫌いじゃないです。ツッコミどころがいっぱいなのは意図的にやってるんでしょうしね。外連味たっぷりだなぁ、と笑いながら読みました。

あ、私はカバーを外して読む&あとがきは最後に読む人間なので、実はわかつきさんがどこのパートを担当しているか知らないで読了しました。
あとで確認して(カバーに書いてありました)納得しましたけど。

これから読む方は、敢えてカバーを外して、誰がどこを書いたかを知らないまま読むことをオススメします。

みなさんはどのヒロインが気に入るでしょうか?

やっぱり私はツンデレお嬢様と読書少女が(しつこい)。